ブロツワフのクリスマス
『サンタクロースは、ほんとうにいるの?』という手紙を8歳の少女ヴァージニアがアメリカの新聞社ニューヨーク・サンの編集部に送り、同社の記者フランシス・チャーチが社説で『ねぇ、ヴァージニア、サンタクロースは本当にいるんだよ。』と目に見えないものの存在とそれを信じる心の大切さを答えとして書いた話を、この時期になると思いだす。私たちはサンタクロース=クリスマスと考えている。サンタクロースは1822年、アメリカ、ニューヨークの神学者クレメント・ムーアが自分の病身の子供のために作った詩『聖ニコラウスの訪問』の中に登場した人物と言われている。それはヨーロッパ各地の古くから伝わる話の中に出てくる人物をムーアが1つにまとめて創り上げた人物である。
ヨーロッパのカトリック社会ではサンタクロースとクリスマスは別のものと考えられており、クリスマスはあくまでもキリストの誕生をお祝いする。ポーランドではサンタクロースにあたる人物は聖ミコワイと呼ばれ、12月6日にお祝いする。しかし、TVを見ているとサンタクロース=クリスマスのような画面をよく目にする。マクドナルドやKFC(ケンタッキー・フライド・チキン)が若者をはじめ、多くの人達に人気があるようにクリスマスの考え方も少しずつ変わってきているのかもしれない。
12月に入ると町の装いもクリスマスデコレーションとなり、ブロツワフでは市庁舎周辺が特に、きれいに飾られている。また、帽子・マフラー、クリスマス装飾品の小物類、食べ物関係などの店が軒を連ねて並び、訪れる人たちを楽しませてくれる。12月に入り気温がマイナスを表示するようになると温かい飲み物を出す店には、すぐに行列ができる。私が訪れた時もかなり冷え込み、行き交う人たちが小さなかわいいブーツのカップを口に運ぶのを目にし、それを売っている店へ行ってみた。
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紺色の下地にこの市庁舎を中心とした雪景色のイラスト。Wroclaw 2009 と白い文字で書いてある。そのかわいいカップは飲み物+カップ代(10zl)を払うことで持ち帰ることができる。ホットチョコレートを頼み、2009年のクリスマスの記念にすることにした。
ポーランドでは国民の約90%が敬虔なカトリック教徒で、クリスマスの12月24・25・26日は祝日で国民全体でクリスマスをお祝いする。24日のクリスマス・イブの食事は肉類を食べず、鯉を代表とする魚料理が中心になる。日本ではアメリカ式のクリスマスの過ごし方から、クリスマスのごちそう=肉料理 と当り前のように信じ込んでいたので、ポーランドへ来て初めてそのことを知り不思議な感じがした。25日からはいつもの肉料理が食卓に戻るらしい。
24日のディナーを済ませると、ミサに参加するため教会へ行く。
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私も夜10時ごろ宿舎を出てトラムに乗り日曜日に、よく訪れる聖アルベルト教会へ行った。ミサは、25日午前0時から始まる。0時近くになるとミサへの参列者で教会の中はいっぱいになった。いつもの1.5倍くらいの人数で立っている人もかなりいる。いつものように鐘の合図でミサが始まる。先頭の司祭が十字架を持って入場し、後に多くの司祭が続いて祭壇の方へ歩いていく。今日はクリスマス。司祭の数がいつもの3倍位に増えている。この教会の司祭全員なのだろう。司祭の話、聖歌隊のコーラス、パイプオルガンの伴奏。約1時間近くのミサが滞りなく終った。
入場のときと同じように十字架を先頭に司祭の列が戻っていく。参列者たちも順番に教会を出ていくが、聖歌隊の歌声はまだ教会内に大きく響き渡っている。一般の参列者たちも聖歌隊を囲むようにして聞き入っている。約40分。午前2時少し前に聖歌隊のコーラスは終り、すべて終了した。クリスマスの日にブロツワフで、カトリック社会の本当のミサを初めて経験し、少し高ぶった気持ちになりながら歩いて宿舎まで帰った。
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